JDMC主催データマネジメント2014受講メモ

2014年3月13日 目黒雅叙園
今年で3回目、相変わらず盛況であった。
今年から、データマネジメント賞の発表も加わわった。お昼もベンダーセッションであるが、お弁当が付くというスタイルで、継続している。会員として会費を徴収される身にとっては、無料でそこまでやらなくても、もうちょっと税金(会費)を安くしてくれないかと思ったりもするが、まあ、普及に向けては致し方ないか。

●基調講演1「鯖江市(福井)でのオープンデータの取組み」について
野鯖江市長、jig.jp 福野社長
鯖江といえば、数年前の朝ドラ「ちりとてちん」の舞台で有名になったが、眼鏡の産地としても有名。鯖江製のフレームというグーグルグラスをかけて、福野氏は登壇された。
linkdata.orgでは、行政のデータを中心に一般公開し、それを使ったアプリケーションも公開している。鯖江市では、積極的にデータを公開し、そのデータをもとに住民に役立つアプリを作成している。福野さんがそれを支援している。
ベンチャーが、地方の都市を盛り上げる構図ですね。
消化栓のありかを地図上に示してくれるもの。(http://app.linkdata.org/run/app1s229i
データ分析の題材として見るのも面白いかもしれない。

●基調講演2 「ゴルフ場運営会社PGMホールディングスでのone on oneマーケティングの取組み」
PGMホールディングス.神田社長
130コースのゴルフ場を運営している。顧客の半数以上は、55歳上で、リタイヤした人による平日の利用も増えていて、現状は順調な経営だが、将来を考えると顧客をセグメント化し、さらに個々の行動分析を踏まえたマーケティングが必要。
元々、ゴルフ場単位で個別のシステムであったため、不都合が発生していた。売上予測も、全社として把握できなかった。
そこで基幹システムを1本化し、データが揃ったところで、データ分析につなげた。
着地予測(売上予想)、商品分析(売れ筋)、顧客リターゲット、iPadの活用。
売上予想のために、顧客のセグメント化(収入、平日/休日)、天気予測、キャンセル予測を実施。予測モデルは、株価チャートに類似(神田氏は銀行出身)。
ビッグなデータの活用としては、Tポイントカードとのクロスマーケティングを行っていく。
データ活用していくためには、前提条件を経営者がシンプルにコミットメントすることがポイントと言われた。
全ての予約情報を把握するために、顧客情報を集める。
アカデミックな予測方法による把握。

●データマネジメント大賞発表
JDMCで今年度より始めたもの。
対象は、大阪ガス(オージス総研)と協和発酵キリン社。

●ベンダーランチセッション「貯めて分析から即座にさばくへ」

ソフトウェアエージー社.大井氏。高速複合イベント処理のApama、メモリ上でのデータアクセスTerracotta BigMemoryの紹介。金融トレーディング、M2M分野への適用。

●スシロー社データ活用事例
情報システム部長田中氏。
ベルトコンベアーで回っている寿司は、鮮度が悪くなる前に廃棄する必要があるが、この廃棄ロスを如何に少なくし、顧客には待ち時間を少なくし、如何に効率よく食べてもらうかを過去データや、その時点のデータを分析して工学的アプローチでのシステムを構築している。
皿にICチップを付けて、鮮度や売れ筋の把握から始めた。

データはAWSで、分析ツールとしてDr.Sum、モーションボード、トレジャーデータ、クリックビューを利用。
データ量を気にしなくてよい、CPU負荷に合わせて増強、都度分析のためのマートを作成といった理由からクラウドがベストと判断している。
データ分析からの予測に、感と経験値も加味した。
テイクアウトでは、製造のキャパシティから出来上がり予定時間を表示している。

●ノーチラステクノロジー.神林氏
ビッグデータは、マスコミ、ベンダー、最近では政治家まで加わって作り出したもので、近いうちにはたんする。「ナノテク」のたどった道となると。
ビッグデータを掲げて商売になっているところはない。ビッグデータを扱う必要があるのは、グーグルとツイッター、アマゾンくらいではないか。
そもそも、ビッグデータと言う言葉が間違っている。データ爆発。
CRM One to Oneと何ら変わらない。
Asakusa FremeworkというHadoop フレームワークをもとに、基幹バッチの分散処理による時間短縮を提案している。
基幹系から情報系へデータを連携する時間がボトルネックとなる。分析系を切り離すのではなく、業務系、基幹系の延長と考えるのが良い。
データが倍になったからと言って、価値が倍になるわけではない。
自分の考えをしっかりと持った、個性の強い方である。バズワードに載せられてなんとかビジネスをと考えている自分を少し反省した。

●Talend.寺澤氏「オープンソース.Talendの紹介」
データは量だけでなく、品質を高めることが重要。
データサイエンティストとデータキュレーター(多くのデータの中から役立つものを選び出してくる人)。
DQ機能も持ったETL系のオープンソースの。少しトライアルしておいた方がよさそう。

●顧客データの一元化
アルク.情報システム本部長.鎌田氏。
13に分かれていた顧客データを統合した。
DWHを目指さず、SugarCRMというオープンソースを導入したのが良かった。
やみくもに顧客データ統合するのではなく、目的を持って統合した。
ETLツールはASTERIA WARPを導入。

●データ分析人材の育て方、組織のあり方
大阪ガス.河本氏
IT部門組織下のビジネスアナリシスセンター(BAC)で、9名のデータ分析者で15年前から活動している。
当初は、社内の御用聞きであったが

。いくらデータ分析した結果が素晴らしくても、現場でその結果を活用してくれなければ、BACの存在意義も無いし、分析者のやりがいもない。
そこで、ビジネス上の課題を見つけることから始め、それを解き、使わせる(使ってもらう)ことを実践している。問題を解くところで、統計解析の知識が必要となるが、そこの部分は少し勉強すればできるようになる。
使ってもらうために、分析結果を理解してもらうだけではNGで、腹おちしてもらうことが必要。そのために、プレゼン資料には時間をかけており、その時間は無駄だとは思っていない。ややもすると、問題解決のためも分析に多くの時間を費やしてしまいがちであるが、外部パートナー(OGIS総研)を使ったりして、問題発見、現場への説明にできるだけ時間を割けるようにしている。
河本さんは、データサイエンティストの草分けとして、多くの講演をされているが、実際にお話しを聞くのは初めてであった。
現場重視のバランスのとれたビジネスマンという印象を受けた。


以上